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【STAFF BLOG】俳優の役作りについて

アメリカの俳優
ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)は
徹底した役作りを行うことで有名です

タクシードライバーを演じる時はタクシー会社に勤務する
他国語をマスターするためにその土地に移住する
体重を20キロ増やす
ボクサーの筋肉質体型になるために過酷な肉体改造をおこなう

時には頭髪も剃り上げ警察捜査に同行して
本物の犯人を逮捕してみたり、はては
ホームレス生活までも実際に体験した上で
自分の演じる役を追及するそうです

一方、イギリスの俳優
アンソニー・ホプキンス(Sir Anthony Hopkins)は
どのような役であっても
特別にリサーチをして演じることはないと断言します

役柄の徹底的なリサーチや実体験によって
リアリティを追及するデ・ニーロのやり方とは
まさに対極にあります

全てはシナリオ(台本)のなかにあり
シナリオを深く読み込み
必要な要素を綿密に探り
台詞の暗記を徹底的におこなう

脚本家の書いた言葉を自分の言葉として忠実に再現し、
きわめて自然な演技をするべきだと語ります
実体験などは必要ないという考え方です

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このふたつのやり方はどちらが正しくて、
どちらが間違いなのでしようか?

どちらか一方のアプローチが絶対的に正しく、真実であり
相反するもう一方は、まるで間違いだらけの馬鹿げたもので
激しく拒絶すべきなのでしょうか?

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全く異なる準備をおこなって役柄を演じる彼らですが
それぞれの作品のなかですばらしい演技をおこないます
わたしも心から感動しました

演技スタイルも、役作りのありかたも
ステレオタイプでは表現できない多様なものであり、
正誤や優劣を比較することなどはできません

自分の正しい確信があれば
その手法を突き詰めて深く探究するだけです
理解することすらできないものや
実践することなど絶対に無駄だと思うものは、
役作りに限らずあらゆるところにあるものです

表現者が皆同じ手法を用いて仕事をする世界などは、どこにもなく
むしろ、異なる表現手法や目的に向かうアプローチが常に多様であることは
多くの手法のなかから自分の感じる正しさや確信を選択できることでもあります

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どのような役作りが必要ですか?
正しいアプローチを教えてください!
わたしはどのように学ぶべきですか?
と、若き俳優志望者たちはいつも、疑問を持つことでしょう
けれども
すべての人に正しい答えなどは絶対にありません
ただ自分のやり方を見つけるだけです

以上
本日は演劇論になりましたが
今後ともよろしくお願いいたします

横浜YTJホールスタッフ 松本

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